●金魚屋は気楽な稼業と思ったが・・(プロローグ)
妻とその妹はそこそこ金のかかるお嬢さん学校を出ている。小さな頃は何でも買ってもらえたらしい。妻は会社勤めをしてからも家には全然金を入れていなかった(それはそれで問題と思うが・・)。家の横には地図に載る金魚池がある。義父はかつてスカGに乗っていた。これらを断片的にとると「金魚屋とはなんと儲かる商売ではないか!!」とバラ色の未来を結婚当初は思ったものだ。中古の日産チェリーしか買えなかった一公務員の息子としては「これは逆玉かもしれない」などと脳天気に思っていた。
が、それは昔の話。言い値で売れた過去は恐らく二度とは来ない。また、金魚池も公共のものであることが判明。兼業化や廃業の現実をとくとくと義父に話され、「サラリーマンの気楽さ」を実感する。
まあ、そんなものかと思いながらも知らない世界への興味で、色々と手伝っていた。確かに3K系統の仕事ではあるが、自分の裁量 が全ての自営業。工夫によっては何とかなるはずだと、自分なりに今ある材料でどうするかを考えている内に、止めどなく夢が広がって、ついには四代目に立候補!。但し、勢いだけである(^_^;)。義父は積極的な賛意は示さなかったが、少しは嬉しそうだった。さてそれは定年後になるのか、はたまた・・・・?●修行その一(じゃこ取り)
「じゃこ取り」とは金魚を引き上げた後、シーズンオフに池を全てさらって残った雑魚をさらう仕事。網を引くだけだからそんなに大変では無いだろうと思ったのだが、泥が膝まであって、思うように足が進まない(泥から足が抜けない)。明らかに私より年上のおじさんが多少は苦労はしているものの仕事をこなしている。私は全力を尽くしても足が進まない。しょうがないので、池端で魚を取り込む役になる。少し情けないぞ。フルマラソンサブフォーの体力が通用しない。この足腰では通用しない!!
●修行その二(出荷数量カウント)
我が家は金魚すくい用の和金を主に出荷しているが、その注文単位が半端ではない。1000単位である。それをどうして数えているかと言うと・・「手でカウント」しているのである。重さで代用するとばっかり思っていたが、いちいち右から左へ移し替えて数を数えている。クライアントがそれだけ細かいからそれに対応しての事だが、これはきつい。目・肩・腰にくる、アリナミンが絶対必要な作業となる。単位が10000を越えると気が遠くなる。簡単にカウントできる機械を誰か作ってくれないか。もしくは量り売りへの転換か。改善の余地が有りそうな仕事である。
●修行その三(ひし取り)
左上のコウモリのようなものは“ひし”の実です。黒くなったのは一年を越したもので、池底に落ちて芽を出します。黒くなる前(夏期)に採る実(白い中身)は食用になり、この黒いのも漢方薬になるそうです。・・と、一見役に立ちそうな水草ですが、こいつが生えると日光を遮断して水温が上がらなくなり、金魚の生育が悪くなります。そのための駆除が「ひし取り」です
右上の写真のようにびっしりと生えているのを左下のボートに乗ってむしりにいきます。浮き草だから大したこと無いだろうと思ったのが大間違いで、真ん中の写真のように氷山のごとく水上部は僅かで、その下の部分を池底から引っこ抜く作業となります。
不安定なボートの上での作業は余計な力が入り腰から太股にかけてぱんぱんになります。加えて、ひしのみの棘がささってたまりません。